なーーんだ、いい日じゃん
土砂降りの雨。低気圧。スーツにパンプス。
最悪の中の最悪の日のような気がした。
バスに乗ろうとしたら、バス停に着いていないのに向こうからバスが来るのが見えて全速力でパンプスにイライラしながら走った。だからスニーカーがいいんだって!!と誰に言っているのかわからない文句が頭の中でしゃべった。
全速力で走る女をみていたのか、ありがたいことにバスの運転手さんがバス停でとまってくれた。本当にありがとうの気持ちでいっぱい。降りるときに、愛をこめて「ありがとうございます」って言ってしまった。
バス停から目的地に徒歩で向かう頃にはすでに汗をかいていた。
今日は、企業フェア面接会なのに、直行したブースはカウンセラーによる相談室だった。
企業案内パンフレットを見ても何も心が動かない。
鉄を取り扱う会社の営業を見て、どんな気持ちで働くのだろうと第三者の視点で物語を膨らませるばかりだ。
カウンセラーさんにどんどん攻め込んだ説明をされ、なんだか自分がおかしくて、惨めで、何をしてもだめな人間に思えて泣きそうになった。
でも、カウンセラーの人はやはりプロだ。私に少しヒントをくれた。
「あなたは、探求心が強くて人と直接かかわっていきたいんだね。これじゃないなっていうのが取捨選択できているのだから大丈夫」
そう、言葉をかけてくれた。
やっぱり言葉ってすごいなぁと思う。心を落ち着かせてくれたりするのだもの。時には刃物になってしまうけど、言葉ってすごく魅力的で力のあるものだ。
カウンセラーさんに憧れている人とかいる?と聞かれ、星野源みたいにいろいろできる人に憧れるというと
「私も源ちゃん好きよ~。あの人には魅力を感じるよね」
好きな人を好きと言われるとうれしい。
今日は、もう収穫もあったし帰ろうと思ったとたん、カラオケに行きたくなった。
私はここ最近カラオケにはいっていない。カラオケの部屋で歌うと頭が痛くなるというのもあるけれど、一番の理由は、家で伴奏をつけながら歌えるからだ。ピアノもギターもある。時間も制約されないし、お金もかからない。ドリンクバーも冷蔵庫の中にある。
でもなぜか、今日は行きたかった。心が行きたがっていた。
カラオケのあるバス停を降りてすぐのカラオケ店へいった。
「今、あいにく満室です」といわれ、お得になるらしい会員登録をしながら待つことになった。
待っていると、カラオケを終えた人がぽつぽつお会計に来る。
大半がおじいちゃんやおばさんだ。
木曜日の昼間はこの年齢の住人がお店を支配している事実に驚いた。
常連さんも多いようで、店員さんと世間話をし、握手をして「またね~」といいながら帰ってく。
こんな風景をみるとなんだか心がポカポカする。特に、心が土砂降りの私にとってそれはズーーーんと心にきた。
少しして、部屋の清掃も終わったのか呼ばれた。
久しぶりのカラオケルーム。
どの位置に座ったらいいのか迷いながら、昔の記憶を頼りにマイクを取り出したり、曲を機械で入れた。
自分の好きなエコー加減や、音量を調節しつつ家で歌うのは気が引ける、声をはる曲をチョイスした。
歌ってる最中に、飲み物を運んできてくれたおばちゃん。
そうだよ!これこれ!カラオケならではの歌うのを中断するやつ!
久しぶりの体験だった。
久々のカラオケにいって、やっぱり歌うの楽しいなとすごく思った。
小さい頃から歌うのが好きだったけど、これからもきっとずっとずっと好きだと思う。
音楽やめられないなぁって、ずっとやってるんだろうな。やっていたいな。
家に帰る途中に、足のかかとが痛くなって本当にパンプスを川に投げたくなった。
スーツも本当は燃やしたいけど、誰かが亡くなったらこのスーツがないと困るので学生でいる今は燃やせない。本当は燃やしたいけどね。
少し、今日も前に進めた。
悲しい1日の始まりかと思ったけど、少し楽しかった。
明日も外で用事がある。何か見つけたいな。
おやすみなさい
いつもありがとう